ステージゲート

ステージゲートという考えをITにどう適用できるか、考えてみたい。

ステージゲートとはなにか?

ステージゲートとは、研究開発等をいくつかのステージ(フェーズ)に分け、次のステージに移行する際の評価で合格となったものだけが、次フェーズに進める考え(しくみ?しかけ?)。


ステージには、おそらくバリエーションがある。
ここでは「アイディア段階」「探索(事業面での構想?)」「研究」「開発」「事業(市場での刈り取り)」のステージに分けられている。
ここでは、ステージは「構想」「計画」「開発」「評価」「出荷」「ライフサイクル」の6つ、チェックポイントは「構想DCP」「計画DCP」「発表DCP」「ライフサイクルDCP」の4つがある。

ITでどう使う?

グーグル先生に聞いた限りでは、情報を発信したり導入しているところは、モノを作っている企業が多そうだけど、モノに限った考えではないと思うので、ITに具体的にどう適用できるかを考えてみる。

企画(IT企画)
  • 定義:業務分析、システム化構想・企画を実施

IT化したい案件はたくさんあるだろうけど、その中から投資対効果、法改正などのITに対する要求、競争力などの要素でIT化対象を選別する。
ここにはすんなりハマる。ここには、大抵の企業がステージゲートを設けているのではないか。

要求定義
  • 定義:システム要求、ソフトウェア要求(、ハードウェア要求も・・・)を定義

システム要求(人手による業務やソフトウェア、ハードウェアなどを組み合わせて何をどう実現するか)を定義(検討、決定)し、ソフトウェア、ハードウェアのスコープを決める。
ここでソフトウェアやハードウェアにかかる費用の概算見積りができるので、ここでステージゲートを設けることができる。(事業会社が見積もるか、RFPを受けてIT企業が見積もるかは様々だけど。)
ただ、経験的には、ここで「案件を」絞り込むというよりは、実施すると決まった「案件のスコープを」絞りこむことが多い気がする。
一応はここで、実施可否と実施する場合のスコープなどを「絞り込む」機会を設けることができる。

開発
  • 定義:ソフトウェアの設計〜実装〜統合テスト〜システムテスト〜受入テストあたりまでを実施。(要求定義に対応するV字右側まで含む)

ここでステージゲートを働かせることは可能なのか?
通常、開発の終了間際にリリース判定を行うが、これはステージゲート(絞り込む)とは違う。「絞りこむ」のではなく、リリース時期を再検討(延伸)することができる程度。
また、開発の過程で、自社開発・委託開発に関わらず、QCDを満たせなくてプロジェクトが中断することはあるけど、それはステージゲートが適切に働いたことにならず、単に失敗しただけ。

実運用(刈り取り)・評価
  • 定義:実業務で運用して投資を刈り取り、狙った効果があがっていることを評価し、PDCAまわす

そもそもITシステムに問題が多い場合や、思うような効果がでない場合は廃止することがあるけど、これもステージゲートが適切に働いたことにならず、単に失敗しただけ。

なぜハマらない?

企画段階では「絞り込む」発想はすっきりハマるけど、要求定義以降、ITを意識した段階からは、うまくハマらないように感じる。
なぜだろう?

  • スコープをある程度変更することができるため、GO / NoGo 以外の選択肢が多くあるから?
  • 完成するまで目に見えにくい(スコープ変更・要件変更の余地があることも原因の一つ)ため、「 NoGo とは言えない」という状態が継続するから?
  • 企画段階で選別した後、多くのプロジェクトが走っているというより、少数のプロジェクトに多くのリソースを当てて開発を進めるため、止められない状態となるから?
  • ステージごとにゲートを設けるという発想がなかったため、ゲートを設けにくいプロセスだから?
  • 企画段階で課題や目標設定、スコープの定義が十分にされておらず、評価基準がないから?


いったん一つ目の案を仮説として置いて、また改めて考えてみることにしよう。