新・ソフトウェア開発の神話

新・ソフトウェア開発の神話 成功するプロジェクトチームの科学と文化 (IT Architects’Archive ソフトウェア開発の課題 11)

新・ソフトウェア開発の神話 成功するプロジェクトチームの科学と文化 (IT Architects’Archive ソフトウェア開発の課題 11)


原題は、 The Software Development Edge です。
「人月の神話」の21世紀版という帯がついています。いい本です。

どんな本か

タイトルからわかるように、プロジェクトマネジメントの本です。
著者のジョー・マラスコさんがプロジェクトマネジメントをされた経験に基づき、エッセンスをまとめた本だそうです。


プロジェクトをマネジメントするにあたり、考慮すべき点、嵌りやすい落とし穴などについて書かれています。
全体的に、概念的な話と、定量的/定性的な検知/計測の両面で解説されています。


中心の話題は、「遅延プロジェクトに人を追加すると更に遅れる」といった、人がらみの話題です。人をどう集め、高い生産性をだせるように学習し、生産性を維持できるように動機付けるかという点です。
そのほか、

  • 遅延などのプロジェクトの問題が気づかないうちに手遅れになっていくメカニズム
  • スコープ・リソース・時間・品質のトレードオフを意識すること、
  • きちんと直感を働かせて物事を判断すること

など、エッセンスが詰まっています。

その他、個人的に響いた点

個人的には、

  • 組織が成長するためには、適正なレベルで要員を追加しつづけなくてはならない
    • 同じ要員で続けていくと考えが固まる
    • 辞めていく人がいる
    • 追加要員の生産性は当面の間上がらない
    • 追加要員を教育・フォローするために既存メンバーの生産性が下がる
    • 追加要員を受け入れつつ、成長していくためには、受け入れ可能な人数(成長率)に限界がある。
  • 反復開発のメリットが多岐に亘ること
    • プロダクトのリスク
    • プロジェクトのリスク
    • 教育
    • 早期の撤退判断→これにより、組織はより多くのプロジェクトを実施できる
  • マネージャが新技術を評価し、把握するためのポイント
    • 評価軸をあらかじめ決めておいて、複数の技術で評価するといいよね、等
      • hello world等、文字の出力
      • ユーザの入力を受け取る
      • データの永続化
      • 典型的なデータ構造の扱い
      • エラー処理
      • 抽象化やカプセル化

といったあたりが響きました。


細かいエッセンスや響くことばが多く、付箋だらけになりました。読みにくいから、マーカー引けばよかったかも。


反復開発のメリットについては、面白いテーマなので、また改めて書きたいですね。

参考

作者のジョー・マラスコさんが10月初めに来日した際のインタビュー記事が EnterpriseZine に掲載されていますね。
EnterpriseZine:ムダなものを作らない。それを解決する手法が反復的な開発とモデリングである