インタビュー術

インタビュー術! (講談社現代新書)

インタビュー術! (講談社現代新書)


インタビュアーである著者が、インタビューについての持論、準備やインタビュー時や編集時に考えていることを語った本。ノウハウももちろんたくさん詰まっているが、ノウハウ本というよりは、インタビューに対する考えを語ったものという印象が強い。インタビューに対する意識や読み方も変わってきそうだ。実はノウハウ本を探していたため目的は達成できなかったのだが、数か月かけて効いてきそうな本だ。

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プロの書いた本だから、文章は言うまでもなくすばらしい。構成はわかりやすいし、文章は理解しやすく、曖昧さはなく、一読すれば頭に入る。難しい内容ではないし、ロジックはシンプルなのだが、具体例や解説が程良く丁寧でイメージを掴みやすい。
インタビュー術の本である以上に、集めた材料をどう構成し、どう表現するかといった、文章の書き方(プレゼンテーションのしかた)の良い例としてもよさそうに思う。


私が「インタビュー術の本である以上に」と書いた理由は、私の日常の仕事に直結する内容ではなかったからだ。インタビューを生業としている人にとっては違う見方があると思う点は補足したい。



P.S.
いや、「プロの書いた本だから」という表現はひどいな。文章や図など、さまざまな方法でアウトプットしてお金をもらっているのだから「あの人はプロだから」と逃げてしまうのは恥ずかしいことだな。


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ついでながら、インタビュー、取材という言葉については、読む前の印象とは違っており、興味を惹いたので書き留めておく。

取材

語り手が話した内容はあくまでも材料。材料をどう組み立てるか、何を結論づけるかは聞き手(取材した人)が決める。読み手は取材した人の意見として受け取る。

インタビュー

語り手の話した内容や意図を損なわないように編集し、アウトプットする。インタビュアーの作品。読み手にとって、インタビュイーが主体と映るか、インタビュアーが主体と映るかは編集次第。

ゴーストライター(ついで)

語り手が話した内容を聞き手が編集したり膨らませたりしてゴーストライターがアウトプットする。書き手は「ゴースト」なので語り手の作品とされる。読み手は語り手の視点で読む。